放送日: 2025-12-12 人・インタビュー

黒い建物に、クジラが描いてある──肝付町の”すみっこ”に生まれたカフェ「すんくじら」

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番組名:あやみのふるさと再発見


建物にクジラが描いてある。
県道554号線を走っていると、ふと目に入る黒い建物と、そこに描かれてあるクジラの姿。「なんだここは」と思って車を止めたが最後、気付けばフラッペを片手にのんびりしている──そんな場所が肝付町に誕生した。
2025年8月16日にオープンしたばかりの「すんくじらカフェ」だ。


「すんくじら」って、どういう意味?

店名を聞いて、まず気になるのがその言葉の響きだ。「すんくじら」とは鹿児島弁で「すみっこ」のこと。オーナーが名前を考えたとき、ふとこう思ったそうだ。
「鹿児島でも大隅半島のすみっこ。日本全体で見てもすみっこ。だから”すんくじら”にしました」
言われてみれば、確かにそうだ。でもそのすみっこには、クジラが泳いでいる。
端っこにある小さなカフェが、いつか大隅の入り口になる日を夢見て、静かに波に乗っているようでもある。

手作りで生まれた、この空間

店に入ってまず目を引くのが、ドラム缶を改造した椅子だ。取材したパーソナリティも「売り物だと思って値段を聞こうとしたら、まさかの手作りでした」と笑っていた。
ドラム缶を譲り受け、塗装し直し、カットし、レザーを自分で貼る。それだけではない。
店舗自体も、もともとは倉庫だった建物を友人たちと一緒に動かし、基礎を打ち直し、一から作り上げたものだ。
「トイレを作るために建物を動かした」という話には、思わず耳を疑った。浄化槽の関係で排水が難しい中、それでもトイレにこだわったのは「女性のお客さんが多いと思っていたから」。洗面台まですべて手作りで仕上げた。
オーナーの趣味はバイク。海岸線を走るのが好きで、宮崎市内まで遠出したこともある。
「でも最近はカフェが忙しくて乗れていない」と苦笑いしながらも、その表情はどこか嬉しそうだった。

フラッペ、チーズバーガー、ローストビーフ丼

メニューは個性的で、食べ物も飲み物もこだわりがある。人気ナンバーワンはチーズバーガーで、「皆さんに食べていただいています」とオーナー。フラッペも夏から変わらず人気で、抹茶フラッペやチョコフラッペ、パイナップル、ピーチなど種類も豊富。
取材日に居合わせたお客さんたちもそれぞれ違うフラッペを選んでいて、「魅惑的なのがいっぱいある」と楽しそうだった。
食事はハンバーガーに加え、ローストビーフ丼も提供中。さらに取材時点でタコライスの開発も進んでいるという。「大隅半島にないものを出していきたい」というオーナーの言葉通り、メニューはこれからも広がっていきそうだ。
鹿屋方面へのドライブ途中に立ち寄るお客さんも多く、テイクアウトのフラッペを片手にそのまま海岸線を走るのも気持ちよさそうだ。

知る人ぞ知る体験コーナー、タフティング

店内の壁に飾られているラグマット、実はお客さんが自分で作れる。
「タフティング」と呼ばれるクラフト体験で、銃のような専用の道具で糸を布に打ち込んでいく手法だ。色は限定なく選べ、自分だけの作品を作ることができる。
「お客さんが体験できるスペースにしたくて。ニーズがあれば販売も考えるけど、まずは体験してもらいたい。」とオーナー。
知らずに来て、帰るときには自分だけのバスマットを抱えている──そんな旅の記念になるかもしれない。

大隅の入り口を目指して

鹿屋方面から県道554号線を走り、宮富小学校を過ぎて橋を渡ったすぐ右手。黒い建物の上にクジラがいたら、そこが「すんくじらカフェ」だ。
「鹿児島や鹿屋から皆さんを呼べる、大隅の入り口になれたら」というオーナーの夢は、まだ始まったばかりだ。でも、その夢に向かって一つひとつ手を動かしてきた人が作る場所は、来た人の心にちゃんと残る。
次のドライブの目的地に、「すんくじらカフェ」を加えてみてはどうだろう。
クジラが迎えてくれる黒い建物の中に、きっと新しい発見がある。


すんくじらカフェ(肝付町宮下・県道554号線沿い、橋を渡ってすぐ右手)

営業時間:11:00〜18:00
定休日:水曜日 最新情報はインスタグラムで確認を


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